映画。「光」。光は影を生む? 陰鬱な影は消えない。
邦画「光」。
四国の友人から譲り受けた「株式優待券」を利用させてもらった。
この映画館は、単館で一定期間に一本の作品のみを上映する。
昔ながらの平面な床面だ。
座席は、赤ビロード?を思わせるシート。
ゆっくり、ゆったり、程よい沈み込み感がいい。
この日の上映作品は、「光」。
事前情報を得ることもなく、飛び込む。
最初スクリーンに現れたのは、ある田舎を思わせる粗いコンクリート地の幅2、3mの路地坂。
その路面に撒かれた、真っ赤な椿?の花。花。花。
生々しい展開を予感させる。
(イメージ写真下に続く)

そこは、小さな島だった。
そこで起きた、その小さな島での出来事。
暴力に暴力で返す。
が偶然にも、その後島を襲った地震津波が、全てを消しさった。
ひとは、何くわぬ顔して、ひとを殺められるのだろうか。
そして、何くわぬ顔して、日々を生きていくことができるのだろうか。
誰かを守るため?
自分を保身するため?
陰鬱な気配が充満する。
最近、現実世界の中でも、なんとも似たような理解しがたい事件が起こっている。
現実の世では、身勝手で自己保身的な事件が圧倒的に多いようだ。
映画は、リアル現実を先行して今後社会を予感し映し出そうとしているのか。
現実は、「小説より奇なり」として映画制作の引き金となっているのか。
映画と現実が錯綜してくる。
これが、この映画の狙いなのか?
そんな中、懐かしい俳優を銀幕の中に観る。
平田満。
「銀ちゃん」と呼ぶ声が聞こえてきそうだ。
随分と前に観たつかこうへい作「蒲田行進曲」の「ヤス」役のイメージが強烈に残っている。
今回、真逆の役どころを演じていた「ヤスっさん」に、改めて脱帽してしまう。
映画タイトル「光」は、何なのだろう。
あるモノに片側から「光」が当たれば、必ず反対側は「影」となる。
「誰かを守る」という精神的な「光」。
その「光」は「影」を生む。
が、映画の後半では、この因果関係が逆になる。
男は、「影」を濃く深くすることで、「光」を守ろうとする。
「誰かを殺める」ことで、「誰かを守る」。
狂気の中では因果も逆になるのだろう。
映画では、そんな陰鬱な「影」をスクリーンいっぱいに映し出していた。
陰鬱な「影」は消えない。
ブルーな気持ちが晴れることなく、幕が下りた。
映画館を出て、光を浴びる。
陽の光にまだ慣れない目は、一瞬くらむ。
慣れれば、明るいほうが快適だ。
人に、社会に、光があたる時、影は付きまとう。
光がまぶしい程に、影は色濃くなる。
P.S.
本投稿は、今月中旬に有楽町スバル座で観て、下書きしていたものの投稿していなかった記事。
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/ FP事務所 ネクストプレイン /
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