映画「翔んで埼玉」。ディスり愛で地元愛!
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いいや、
埼玉を強烈にディスった「ギャグ漫画」を原作とした実写版の映画だった。
(*ディスる=相手を否定する、侮辱する)
作家は、埼玉にチョットだけ居住し直ぐに県外に引っ越した新潟出身の漫画家(魔夜峰央/まやみねお)。
売れっ子になり過度なストレスを抱え発散するため、編集者に隠れて書いた未完のモノらしい。
ネット検索してみれば、30年以上前(1982-1983)に描かれ、時を得て4年程前(2015)にネットで話題になりテレビでも紹介された、とのコト。
その後に映画化が決まり、今年スクリーン上映に至ったという。
さほど特色のない海なし県、埼玉。
でも程々にそれなりにある県、埼玉。
その埼玉の県知事(当時:上田知事)が、埼玉観光交流会(2016年開催)なるイベントにて原作(マンガ本)の感想を問われて返したコトバ。
『悪名は無名に勝る。』
埼玉の人は、なんとも懐(ふところ)が深いのだ。
映画でも、当然に “ディスられ埼玉” が目につく、鼻につく。
と思いきや、随所に「さいたま愛」が散りばめられていた。
さて劇中の舞台は、東京の名門高校。
校内に歴然たる地域格差が、ギッチリはびこっているという設定。
東京在住の超ハイソお嬢様が在籍する超上級クラス、
そして埼玉出身者が押し込められた最下級の「Zクラス」。
このZクラスの校舎がなんとも無残、ボロボロ木造の掘っ立て小屋。
なのだが、この小屋はさりげなく小高い丘の上に建っていた。
作り手の配慮なのか?
造り手の作為なのか?
創り手の愛なのか?
埼玉の誇りと意地が “丘の上から目線” にあった。
さりげなく超ハイソお嬢様らを見下している、そんな気がした。
劇中盤には、転校してきたばかりのカリスマ生徒(GACKT)が他の生徒に向かって一言。
(*GACKT=ガクト/年齢不詳?の男性アーティスト)
『一番を争うのでなく、お互いを認め合う事が、大事なんだ!』
これぞ、普遍的な愛?
愛を示すキメポーズが、劇中にたびたび炸裂する。
(キメポーズ写真以下に、続く)

親指と人指でつくる〇はさいたまの「玉」、
パーに開いた三本指は、埼玉県のマスコット「コバトン」の羽、だという
これぞ、「地元・埼玉愛キメポーズ」。
“ゆるキャラ”の次を担う地元愛の表現だ。
そして、デスリに対して愛で受け止める埼玉人のコトバなき主張でもあった
。
今年の流行語大賞を予想してみよう。
「ディスり愛」!
なにはともあれ、大いに笑わされ、埼玉愛を覚醒させられた映画だった。
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