映画、「海を駆ける」。インドネシアを舞台としたファンタジーな物語。
「ラウ(海)」と名付けられた男。
インドネシアの海岸に素っ裸で気絶状態で打ち上げられた謎の男(ディーンフジオカ)、日本人。
最初のシーンが美しい。
海岸線の何十メートルも真上から直下に向けたカメラ映像。
海岸線がスクリーンの中央を縦に走り、左に砂浜、右にあおい海。
かなり上空からの真下目線で、海岸線のチョット左側の砂浜に、男が裸でうつ伏せに横たわっている姿が随分と小さく見えていた。
劇中、記憶を失い浜に打ち上げられた男は、地元(インドネシア)の人に助けられる。
回復後にみせた彼の芸当がすこぶるファンタジックだった。
時に、染み入るようなメロディを口ずさみ、
時に、手の平を天に向けてソフトボール大の水玉をニョワニュワと、
どこからともなく表出させる。
そしてその水玉を重病人の口の中へ導くと、その重病はたちどころに癒えてしまうのだ。
そんな摩訶不思議な力を持った記憶喪失の男を取り巻くインドネシアのモノガタリだった。
(イメージ写真下に続く)

インドネシアは、10年以上の昔に巨大津波に襲われ大打撃を受けた国だ。
10年以上経過した今でも巨大津波の爪痕が残る忌まわしい風景が度々劇中に現れ、現在美しい自然に戻った風景と交錯する。
劇中に、「TUNAMI(つなみ)」というセリフが度々聞こえてきた。
阪神淡路大震災(1995年1月)の9年後。
スマトラ島沖地震は、2004年12月に起きた。
東日本大震災(2011年3月)の7年前だ。
当時、大ニュースとなってテレビで見たその映像は、まだ記憶から離れていない。
改めてネットで調べると、インドネシア島の沖合を震源とするマグニチュード9超えの地震は、巨大「TUNAMI(つなみ)」を引き起こし、20万人を超える人々の命を奪ったと伝えている。
そんなリアル(現実)な風景の中に、劇中不思議な癒し力を持った男「ラウ」がインドネシアを彷徨う。
彼は「海の精」なのか?
なんとも不思議な物語だ。
人生を唐突に閉ざされ、未来に為すべき事を為せずにTUNAMIに飲み込まれた20万人の御霊は、「ラウ」を御霊の使者として託し、浜に打ちあげたのではないか。
そしてこの映画のエンディング近く。
映像は切り替わり、海の精/ラウを先頭に日本からきた男女4人の若者が、浜から沖合に向かって海の水面を駆ける。
パシャパシャ、パシャパシャ、、、、、
そして、かなり沖合まで走った処で、全員が忽然と海中へ消えていく。
若者男女4人がスパッと海中に消え、スパッと終わる。
なんとも、エンディングが潔い。
以下は、我が身無手勝流の解釈。
エンディングシーンのその後を考えてみた。
海の精霊から使者を担ったラウに導かれ忽然と海中に消えた若者男女4人。
彼ら彼女たちは、TUMANIに呑み込まれた精霊20万人の生前の思いを海の奥底でl引き受けてくるに違いない。
そしてその後、いつか4人そろって忽然と浜に戻ってくるのだ。
20万人が生前に為したかったであろうコトを為すべきコトとして、為すために、
エンディングは、そんなモノガタリを予感させていた。
・・・・・・・
[*追記]
この映画のオープニングクレジット(制作、出演者など表示された映像)にビックリさせられた。
「NIKKATSU」の文字と新しいロゴマークを見る。
この映画では、企画制作と配給を担っているようだ。
今「日活」は健在だった。
知らなかったが、本当に懐かしい。
石原裕次郎の「狂った果実」、「嵐を呼ぶ男」(それぞれ昭和30年代制作)を、昔DVDで見たことを思い出す。
当然に白黒映像だ。
そして、私(ブログ人)は学生の頃に「日活」文芸路線から「日活ポルノ」へ大転換したことを記憶してる。
そして平成も幕を閉じようとしている今、日活は再転換?リボーン(再生)?していた。
今後を楽しみにしたい。
「NIKKATSU」!!!
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