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教科書に載っていたような気がする、この演目。
今になっても、漢字ばかりのタイトルがよく解らない。
映画館を出た後にネットで探ってみた。
「栗毛」とは、栗色の馬。馬場で見るこの色の馬は美しい。
「膝栗毛(ひざくりげ)」とは、人の膝(ひざ)を馬に見立て、徒歩で旅する様を言ってるらしい。
東海道を徒歩で旅するモノガタリ、ようやく合点がいく。

このモノガタリ、弥次さん喜多さんコンビが伊勢神宮へお参りにいく際の珍道中を、捕り物風に面白可笑しく滑稽に描いた話だ。
なのだが、この舞台では歌舞伎らしからぬ超過激な演出に度肝を抜かれ、そしてよく笑わせてもらった。

幕開きは、ラップ調の語り。
道中では、ラスベガスに。
そして舞台では、電飾されたアルファベットがこれでもかとヒカヒカと歌舞いていた。

これが日本「伝統芸能」?
そう、これが日本「伝統芸能」!!
新たな風合いの歌舞伎は、驚きてんこ盛りで楽しい。

(写真下に続く)

演出で唸ってしまったシーンは、ネオンきらめく舞台で繰り広げられる「クイズ大会」。
劇中、観客に二者択一のクイズを問い掛け、その結果如何で、その後のストーリ展開が変わる、という。
二つの選択肢は、観客の拍手の大きさによって選ばれていた。
ひとつの演目ながら、途中に2つのシナリオを用意し、日によって違うモノガタリを創っているらしい。
伝統を大事につつ、それに固執しない脚本・製作陣のチャレンジ精神を垣間みる。

原作者は、昔むかしその昔に教科書で見たかもしれない江戸時代の劇作家、
十返舎一九(じゅっぺんしゃいっく)。
そして現代に、この原作を脚本・演出したのは、喜多さん役の市川猿之助。
弥二さん役で共演したのは、上演当時、市川染五郎。現在は松本幸四郎を襲名。
主演のこの二人、舞台上の掛け合いが見事!
ヨッ! 名コンビ!!

多いに笑わしてくれて、面白く可笑しい「歌舞伎シネマ」だった。
イヤー、満足、満足。大満足。

*番外編
漢字だらけ演目の意味を探っていて、面白ネタを捕まえた。
原作における人物設定が奇抜だった。
主人公の2人。
静岡県生まれで豪商の家に生まれた主人格の弥二さん、と若衆で付き人的な喜多さん。
さりげなく若衆と書いたが、実は若衆とは男色で若い少年のことを言うらしい。
ビックリ!
原作中の二人は元々静岡で男色関係を結び、夜逃げ同様に駆け落ちした。
原作での設定だ。
その後江戸に暮らしたが、日々の暮らしが上手くいかず、厄払いしようとお伊勢参りの旅に出る。
その道中の騒ぎを創作したのがこの本だという。
大いにビックリ。
原作では、弥二さん喜多さんは、男色の二人という設定だった。
江戸後期、こんな設定を当時の人々はおおらかに受け入れ、そしてこの話は大ヒット。
江戸時代の町民文化から生まれた話、なんと解放的なのだろう。

・参考;歌舞伎シネマの公式サイト

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