「羅生門(らしょうもん)効果」。アップル創始者の伝記本「スティーブ・ジョブス」に見つける。
独メルケル首相が先日ソーシャムメディアに投稿したスナップショットが引き起こした
「ラショウモン・エフェクト(羅生門効果)」。
あるひとつの事象(出来事)に対して、人それぞれが認識している事実を主張すると矛盾してしまうという現象。
アップル創始者の伝記『スティーブ・ジョブズI』にも表記されていることを知り、近くの図書館へ出向いてきた。
その本を手に取り一部をパラ読みして、このコトバを見つける。
加えて、情報を扱う者の基本的考え方、立ち位置について要諦が記載されていたので、その内容をご紹介したい。
まず、この伝記の主人公スティーブ・ジョブス。
アップルの創始者であり、世の中に革新的パーソナルIT製品iPhone、iPadを世に送り出し、パソコン、電話、音楽、映像などの業界に革命を起こすも、道途上で膵臓癌を発症し、2011年の秋に56歳にて旅立った。
(以下イメージ写真下に続く)

本書『スティーブ・ジョブズⅠ、Ⅱ』は、本人存命時に本人からの依頼より執筆されたスティーブジョブス唯一の公認伝記(2巻)だ。
著者は、雑誌「タイム」の編集にも従事したことがある米国のジャーナリストで伝記作家でもあるウォルター・アイザックソン。
その1巻の「はじめに」の章の中に、「ラショウモン・エフェクト(効果)」のコトバを見つけた。
ちなみに日本語への訳者は、井口耕二。
本『スティーブ・ジョブズⅠ』 /日本語訳
はじめに ~本書が生まれた経緯~
6ページ
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このドラマの登場人物のなかには、自分の記憶と違うと思える人や、ところどころ私がジョブズの現実歪曲フィールドに捕らえられていると感じる人もいるはずだ。
~ 途中、省略 ~
ジョブスに対しては、皆、プラスかマイナスか、とにかく強い感情を抱くため、同じ事実が見る人によって違って見える「羅生門効果」が、はっきり出てしまう。とにかく、私としては、矛盾する記憶はなるべく公平に取り扱うとともに、情報源を明確に示すように努めたつもりだ。
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スティーブジョブスから信任を得た伝記作家が、特定の個人の予断によらず公平に故人に対する記憶(情報)を取り扱うという姿勢が明確に示されていた。
人の言動は、時にその周囲の人に対し異なる意味合い・捉え方を与える。
人の言動を「情報」として捉える時にも、このことを強く意識しなかればならない。
情報を取り扱う者にとって、大きな示唆となる。
記憶の取扱について本書に明示されていたコトは2つ。
ここでは、記憶を「情報」として読み替えてみたい。
1、矛盾する情報(記憶)を認め、相異なる情報(記憶)を公平に扱う
2、情報源を明示する
まず、1、矛盾する記憶を認め、相異なる記憶を公平に扱う。
著者は、「羅生門効果」を認識した上で、その非合理性を飲み込んだのだろうか。
ひとつの事象でありながら、人によって異なる事実として認識される事は、日常的にあり得る。
ひとつの事象は、異なる事実として認識されることもある。を『真』としたのだろう。
その上で、異なる記憶を特定な記憶(情報)に片寄りさせず、公平に扱う。としたポリシーに脱帽してしまう。
本書の著者は、インタビューした相手が発信したジョブスに対する記憶(情報)に違いがあることを認め、受容して、その異なる他者の記憶(情報)を積み重ねていったのだろう。
その作業は、神経を消耗し甚大なエネルギーを要したに違いない。
著者は、禅僧を自身の導師としていたスティーブジョブスの東洋的思考を尊重したのだろうか。
それとも、多面的な視点を採用することで、より故人の実像に迫ろうとしたのだろうか。
そして、2、情報源を明示する。
様々な情報には、1次情報(本人が現場で直体験して発信した情報)、2次情報(他人が体験して既に保管されていた1次情報を加工した情報)がある。
数字が多くなるほどに、情報の仲介者の想いやら、思惑が入り込み、情報の内容は多様になる。
送り手が情報源(出典)を明らかにすることで、受け手は情報原との距離感を推し測ることが出来て、その正確性、鮮度を推定することが可能となる。
私ブログ人も、この2点にココロして情報を取り扱いたい。
希代の起業家で、三宅一生デザインの黒タートルネックセーターを愛用したスティーブジョブスに合掌。
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/ FP事務所 ネクストプレイン /
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