映画。「ミッドナイト・バス」。トンネルは過去と未来を隔て、繋ぐ。イイ映画だった。
前々から観たいと思っていた映画がかかっていた。
東京・有楽町スバル座に入る。
邦画「ミッドナイト・バス」。
芸人(ネプチューン)原田泰三が主演だ。
なかなかイイ役者っぷりだった。
映画では、主人公の男は長距離深夜便のバス運転手で、故郷・新潟に一人暮らし。
息子は東京で会社勤め、娘は癒し系キャラ・芸能活動で家にはほとんど帰ってこない。
奥さんは、新たな相手と故郷を飛び出し、東京で暮らしている。
主人公が運転するバスは、新潟と東京間を深夜に往復する。
トンネルを走り抜けるシーンがたびたび。
闇夜からトンネルに入ると、バスは隧道内蛍光灯の鈍い光を受け、タイヤ音を鳴らし響かせて走る。
トンネルは、関越トンネルなのだろうか。
トンネルは、新潟(ふるさと)の営みと東京の営みを時に隔て、時に繋ぐ。
トンネルの入口は、過去の風景(生活)からの別離。
トンネルの出口は、未來に向かう風景(生活)との出会。
トンネルシーンの都度、琴線にふれるような情緒的な楽曲が流れてきた。
時に、ストリングスが響き、時にトランペットが鳴いていた。
楽曲は、過去を思い出させ、そして未來を予感させる。
トンネルのシーンとこの楽曲で、もうこれだけで、参ってしまう。
(イメージ写真下に続く)

そして、あたりがボンヤリと薄明かりになる頃、バスは新潟に戻ってくる。
ヘッドライトを消しはじめる朝日が昇る前の、暁(あかつき)の頃。
今まさに、眠りから覚め、街が起きようとする時間帯。
我が身が一番好きな時間帯でもあり、思い出満載の時間帯だ。
男(原田泰三)が東京をバス往復する生活にも慣れた頃、20数年?ぶりに元妻に再会。
男が運転するミッドナイトバスに東京から乗ってきたのだ。
同郷で同窓生、後輩だった元奥さん(山本未來)。
ひとり暮らしで実の父親(長塚京三)の介護で東京から新潟へ通っているのだ。という。
劇中で、元妻の実父は、男になにげなしに呟く。
「白鳥は、家族そろって渡っていくのに、人はどうしてできないんだろうね。」
自問してしまう。
なぜだろう?
理性があるから、、、
中途半端な理性が、個々の異なる理性がぶつかり合うから、、、
そんな理性は、時に人生を邪魔する。
別のシーンで、原田泰三演じる元夫は、山本未來演じる元奥さんから問われる。
「なぜ再婚しなかったの」
「おまえは?」
元妻:「寂しかったから。」
「あなたは?」
元夫:「寂しくなかったから」
二人は、別れた後も今までズーーと、お互いに思いを寄せていたのではないか。
作家は、そんな思いをこの作品に込めたのだろうか。
元妻は、思いを寄せているあなたが傍(そば)にいなくて寂しかった。
元夫は、お前が傍(そば)にいなくても、お前への思いがあるから、寂しくなかった。
お互いが、思いを寄せているのにも関わらず、その思いは結実しない。
二人は背中を合わせ、異なる生活に向かって歩き始める。
思いを飲み込んで、、
映画前半に父親役の長塚京三が呟(つぶや)いた言葉がよぎる。
「白鳥は、家族そろって渡っていくのに、人はどうしてできないだろうね。」
この映画の引き金は、新潟日報140周年記念?とクレジットされていた。
地方発のこんな映画は、魅力的だ。
次作では、
キャスト・スタッフは、地元出身者。
制作費は、クラウドファンディング。
で、どうだろう。期待したい。
追記
劇中で、バスドラ男の単調な生活を支えていた人が東京にいた。
東京・山の手線の、とある駅近く、路地裏ながらも小粋な創作割烹風の小料理屋の女将。
その小料理屋をひとりで切り盛りするバツイチ若女将を演じていたのは、小西真奈美。
劇中では、お袋さんが営んでいた店を継ぎ、フレンチを勉強して、創作和食に励み、時折やってくる男(原田泰三)にそれを振舞っていた。
こんな女将、小料理屋があったなら、毎日通ってしまいそうだ。
先程、この映画の公式サイト(ネット)を見た。
小西真奈美は、「阿弥陀堂だより」で映画に初出演し、各種新人賞を受賞。
とあったが、記憶がない。
「阿弥陀堂だより」は、好きな映画なのだけど、、、、
んーーー覚えてない。
機会があったら、DVDで見直したい。
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/ FP事務所 ネクストプレイン /
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