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情報を探る。「ビットコイン」編、その(8)。

仮想通貨は、日本において決済手段として法的に認められた。
(*参考:「ビットコイン」を探る(4)。日本は「改正資金決済法」で「仮想通貨」を定義。
モノ、コト(サービス)の対価として、仮想通貨が使えるのだ。

対価の支払い手段として利用できるということは、その仮想通貨に対する財産的価値が担保されている。ということ。
財産的価値が担保されるには、「信用」が必要だ。

日本の法定通貨を再確認したい。

日本銀行券は、偽造防止のための高度な印刷技術が施されているが、それは紙切れ。
金貨、銀貨のように、そのモノ(日本銀行券という紙切れ)自体に価値があるわけでない。
この「日本銀行券」という紙切れの原価を試算した人がいた。
日本銀行の決算書に記載された「銀行券製造費」を発行枚数で割り算すると、
1万円札の製造原価は、2015年ベースで約20円だという。

原価20円の紙切れを、市中では1万円の価値あるモノ(通貨)として扱ってる。
その原価20円でありながらも「1万円」と印字された「日本銀行券」を、「1万円」の価値があると皆が信用して使っている。
日本国民のみならず、就労外国人、訪日外国人が、
日本の法定通貨(日本銀行券及び造幣局硬貨)には額面の価値があることを、絶対的な「信用」を持って日々、利用している。

どうしてだろう。
原価20円の紙切れに、どうして「1万円」の価値がある。のだろう。

皆が使っているから、
皆が信用しているから、
皆が、これは一万円の価値ある紙切れだ。と、心底信じているから、
信用の連鎖?

「信用」の拠り所は?
日本の中央銀行が発行し、流通がコントロールされている銀行券。
日本の市中では、偽造の疑念を抱くこともなく本物の銀行券だと信頼し使われている。
偽物の可能性を微塵も感じさせない。
額面の価値に対する変動も、さほどない。
そして、いつでも、どこでも現金の払い出しを受けることができる環境が整備されている。
地方の津々浦々迄にあるゆうちょ銀行、コンビニATMなど、
日本銀行券・一万円に対する信頼と流通性が、日本全国で確保されている。

偽造の心配もなく、経済的価値は安定的で、流通性が確保されている。

そして、さらに日本銀行券(及び貨幣)では、日本の法律によりその機能が担保されている。
日本では、「強制通用力」をもつ「法定通貨」として法律にて定められ、「信用」は強化されている。のだ。
(*強制通用力:法定通貨による支払いを拒めないという法的強制力)

そして、そして、日本銀行券(及び貨幣)の信用の源泉は、日本の安定した国力。
日本は、世界有数の経済力(実質GDP2017年540兆円:世界第3位)を原動力とした国力をもち、
内戦、戦争などもなく他国に比べれば経済的に政治的に安定しているのではないだろうか。

だからこそ、日本の国力に支えられた法定通貨は、世界的に「信用」され「額面」の価値を担保している。のだろう。
・交換手段(支払い)に使え、
・保存手段(資産の備蓄・貯蔵)として使え、
・価値の比較の尺度に、なり得ている。

(イメージ写真下に続く)

一方、『仮想通貨』はどうだろう。
支払いの手段として法(改正資金決済法)に認められたが、
仮想通貨は、何を源泉として「信用」を確保し、価値を担保しているのだろうか。
日本において「仮想通貨」は、「法定通貨」でなく「強制通用力」も得ていない。

その源泉は、「仕組み」だ。
仮想通貨の「信用」は、発行から流通に至る「仕組み」により確保している。

仮想通貨:ビットコインにおいて「信用」の拠り所は、「ブロック・チェーン」、「認証」などの暗号技術を利用した仕組みだ。
技術が、仮想通貨の「信用」を確保している。

技術により、以下2つの性質を確保し、「信用」を成立させている。
①取引の正当性
②偽造の困難性

①取引の正当性:
 ブロック・チェーン技術により、
 個々の全ての取引は、ビットコインネットワーク参加者の全員に通知され、その取引内容の正当性の検証を受ける。
正当性が承認された後に、取引は成立する仕組みとなっている。
 全ての口座(のようなモノ)間の取引は記録・保存され、別途追跡も可能だ。
この仕組みにより、全ての取引の透明性は確保されている。
ただし、それぞれの口座の表記は乱数化されており、口座の所有者の俗人的な情報とはリンクされておらず、匿名性を確保している。
②偽造の困難性:
 仮想通貨の発行から流通に至るまで、ブロック・チェーン技術により、偽造はほぼ不可能。
 ディジタル表記された仮想通貨の取引データに僅かでも異変があれば、それ以降全ての取引データが連鎖的に異変を発生させ、ビットコインネットワーク参加者全員の衆目にさらされる。
 そして、悪意ある取引データの偽造は即座に発覚するのだ。

仮想通貨は、技術により「信用」が確保される。
そこには、権威ある国、力ある国・組織を必要とせず、それを支える法律も必要としない。
全取引を成立させるために必要な中央のシステムも必要ない。

従前には、思いもよらなかったこと。
今まで、
「お金」に対する「信用」は、「人」を介在して成立してきた。

今後、「技術」が信用の源泉に成り変わった時、「人」が介在することはなくなっていくのだろうか。
技術が人を飛び越えていくのだろうか。
仮想通貨は、「人」を感じさせない「無機質」な通貨となっていくのだろうか。

技術が価値を担保する、「無機質」ながらも低コストな通貨、
人が価値を担保する、手間のかかる「人臭い」通貨、

手間はかかるが「人臭い」通貨は、誰でも使えて、安心だ。
見えないより、見える「福沢諭吉」が好きだ。


(本シリーズ:前後の記事) 
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/ FP事務所 ネクストプレイン /



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